事業承継計画の作成に合ったって注意することのキャッチ画像

みなさん、こんにちは。

本日は事業承継計画の作成にあたっての注意点について確認していきます。

4月21日に中小企業基盤整備機構が運営しているJ-NET21に事業承継計画の作り方が掲載されています。すごく分かりやすく丁寧に説明された記事となっています。

J-NET21「事業承継計画の作り方」

事業承継計画の作り方の細かい点についてはコチラの記事に譲るとして、私の方からは計画を作るうえでの考え方、注意点を補足として確認していきたいと思います。

事業承継計画作成の目的

事業承継計画の目的のイメージ画像

事業承継計画作成の目的は、事業承継をスムーズに進めることは言うまでもありませんが、スムーズに進めるとはどういうことでしょうか。それは、先代経営者が作り上げた「事業そのもの」を後継者にスムーズに引継ぐということです。事業承継には、自社株の問題もありますし、親族内承継であれば相続の問題もあります。特に自社株が高くなる場合、納税問題は非常に関心度が高くなります。また経営者保証などの問題もあるでしょう。でもこれらは本質的な問題ではありません。一番大事なのは「後継者が引継いでうまく経営ができるようにすること」、いわゆる「経営の承継」です。事業承継の失敗はこの経営の承継の失敗にほかなりません。経営資源で考えると、知的資産といえるでしょう。この引継ぎをうまくすることが事業承継をスムーズに進めることとなります。

経営理念・ノウハウの引継ぎ

事業承継計画の作成にあたっての注意点の経営理念

先代経営者がどのような考えてどのようなやり方で経営をしていたのか、経営理念やノウハウなどが明文化され共有されていれば、それを後継者が腹落ちできる形まで先代経営者と対話をしていき引継いでいきます。明文化されていなければ、対話により後継者が見えるカタチにして落とし込んでいきます。良くも悪くも中小企業では、経営者の経営センスや個人的な能力や人間関係で経営を進めているケースが多く見られます。経営者の直感、過去の経験の積み重ねで、それによる経営判断が行われることも珍しくありません。そのノウハウはカタチとして見えない場合が多く、それを引継ぐことは困難となります。時間をかけてしっかり対話をしていきながら引継いでいく必要があります。

従業員との信頼関係の構築と技術・技能の引継ぎ

事業承継計画の作成にあたっての注意点の従業員との関係

これまで先代経営者を支えてくれた幹部や従業員との信頼関係の引継ぎも大事になります。これからも引き続き会社を存続させていくには、幹部や従業員の心の掌握が必要になります。そのためにも、先述した経営理念やノウハウの引継ぎを幹部や従業員と共有していき、先代経営者の想いを引継ぐという宣言も必要になります。「後継者が経営を引継ぎ、自分自身の考えて経営を行う」ということも間違いではありませんが、そういう進め方は幹部や従業員との経営方針に対する考え方の対立が進むことになり、うまく経営ができなる場合が多いです。変えることが必要になる場合もあるかもしれませんが、一旦は先代経営者のやり方を引継ぎ、経営がある程度順調に進んでいってから、変えていっても遅くはないと考えます。

取引先との信頼関係の引継ぎ

事業承継計画の作成にあたっての注意点の取引先の引継ぎのイメージ画像

取引先との信頼関係も先代経営者との人間性や魅力、経営理念で成り立っている場合も多く見られます。まずその取引先とどういう経緯で取引をするようになったのか、先方の真のニーズの把握やキーマン引継ぎなどの人間関係の継続などを含めた引継ぎをしっかりとしていくことが大事です。先代経営者が個人的に長年培ってきた信用により取引を継続してきた場合もあり、経営者が変わることで大きく売上が減少することも散見されています。このようなことにならないように、単なる引継ぎで終わらないように、ある程度の時間をかけて進めていく必要があります。

金融機関との信頼関係の引継ぎ

事業承継計画の作成にあたっての注意点の金融機関との関係のイメージ画像

金融機関の信頼関係の引継ぎも大事です。これに関しては、先代経営者と後継者で事業を引継ぐにあたって、中期事業計画を一緒に作成していき、それを金融機関の担当者と共有していくことで信頼関係を継続していく方法が最善です。単なる業務の引継ぎで終わるのではなく、今後後継者がどのように事業を運営していくのかまでを含めた引継ぎを行うことで、先代経営者の事業をどう後継者が引き継いでいくのかが分かり、継続して応援してくれる信頼関係を構築していくことが可能になります。

本日のまとめ

事業承継には、自社株の引継ぎ、納税対策、相続対策なども、もちろん大事ですが、一番大事なのは経営そのものの承継です。財産の引継ぎがうまくいけば事業承継がスムーズに進むという認識は間違いです。事業承継計画の作成にあたっては、この経営の承継を折り込んだものにしていくことで、スムーズな事業承継につながります。

さいきコンサルティングでは、財産の承継だけでなく、この経営の承継まで含めた事業承継を伴走型でお手伝いいたします。

広島における事業承継のご相談はお気軽にさいきコンサルティングまでお問い合わせください。

次回は、2023年版 中小企業白書について確認していきたいと思います。

それでは、また。

この記事を書いた人
佐伯 隆
中小企業診断士/事業承継士
ソニーの国内販売会社に38年間勤め、営業・マーケティング・マネジメントに携わる。量販本部担当を12年するほか、ソニーショップの経営支援などを行う。2021年より「さいきコンサルティング」を開業。

さいきコンサルティングでは、事業承継に関わるご提案および解決に向けて伴走型で支援をしていきますが、弁護士、税理士などの独占業務など、業法に抵触する職務をすることはありません。